イチョウとCarryME

初めての蕎麦屋で、思いのほか落ち着いた時間を過ごした。

住宅街の細い道を迷いながら向かったのは、前から気になっていた店。自転車で出かけたのは、外の空気を吸いながら気分転換したかったからだ。昼どきを外したためか、客は自分だけ。静かに食べられると思ったら、店主がよく話しかけてくる。普段なら少し面倒に感じるところだが、空腹のせいか、あるいはひとりで走ってきた余韻のせいか、妙に素直にやり取りを楽しめた。

肝心の蕎麦はしっかり香りが立ち、添えられたおにぎりも驚くほどうまい。腹具合も気分も整ったので、もう一つの目的だったどら焼きを二つ購入。家での楽しみに取っておく。

そのまま帰るのも惜しくて、遠回りの道を選んだ。落ち葉が増えてきた道端で、ひときわ黄色が濃いイチョウに足を止めて写真を撮る。構図を決めるより、風の冷たさや静けさが写ればそれでいい。